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人の死に触れたあと、
いつもの景色が少し違って見えることがあります。
昨日まで当たり前だった道。
いつもの食卓。
何気ない会話。
それらが、
急に頼りないもののように見えることがあります。
死は、
できれば遠ざけておきたいものです。
考えたくない。
見たくない。
自分にはまだ関係がないと思いたい。
そう感じることがあります。
けれど、
死をまったく考えずにいると、
今をどう生きるかも、
少しぼやけてしまうことがあります。
何を大切にするのか。
誰に何を伝えるのか。
どこで退かないのか。
何を残しておきたいのか。
そうしたことは、
限りがあると知ったときに、
急にはっきりしてくることがあります。
武士道における生と死は、
遠い戦場だけの話ではないのかもしれません。
死を思うことは、
命を粗末にすることではありません。
むしろ、
今の一日をどう扱うかを問うことなのかもしれません。
この感じは、
自分だけのものなのでしょうか。
昔の人なら、
死を、
ただ恐れるものとして見たのでしょうか。
それとも、
生き方を確かめるための、
避けて通れない問いとして受け止めていたのでしょうか。
分かりません。
ただ、
死を思った時に、
今の生き方が見えてくることがあります。
そう感じた日には、
いつもの一日が、
ほんの少しだけ粗末にできないものに見えてきます。





