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和という言葉を、
ただ穏やかでいることだと思っていたことがあります。
争わないこと。
強く言わないこと。
相手に合わせること。
そう考えると、
分かりやすい言葉に見えます。
けれど、
暮らしの中では、
それだけでは済まない場面があります。
言わなければいけないことがあります。
黙っていては、
かえって相手を粗末にすることもあります。
場を壊さないために言葉を選ぶことと、
何も言わずにただ我慢することは、
同じではないのかもしれません。
食卓で、
職場で、
近所づきあいの中で、
人は毎日のように言葉を選んでいます。
今言うべきか。
あとで静かに伝えるべきか。
ここでは黙っておくべきか。
その判断は、
思っている以上に難しいものです。
和は、
意見をなくすことではないのだと思います。
誰かを押しつぶすことでも、
自分を消してしまうことでもない。
違いがあるまま、
どうにか共に暮らしを続けていくための感覚。
そう考えると、
和という言葉は、
ただ穏やかなだけの言葉ではなくなります。
昔の人がこの言葉に見ていたものも、
単なる仲良しではなかったのかもしれません。
静かにしているだけでは守れないものがある。
そう気づいたとき、
和という言葉が、
少しだけ重く、
そして近く感じられることがあります。
【045〜046】





