変わっていくものを黙って見ていた

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久しぶりに開けた引き出しから、
昔使っていたものが出てくることがあります。

古い手帳。

使わなくなった鍵。

誰かからもらった小さな紙。

それを見ると、
そのころの自分が、
少しだけ戻ってくるような気がします。

けれど、
同時に、
もうその時間には戻れないことも分かります。

人も変わります。

家の中の空気も変わります。

通っていた店も、
いつの間にかなくなっていることがあります。

変わることは、
特別な出来事ではありません。

毎日の中で、
少しずつ起きています。

昨日と同じように見えていたものも、
本当は少しずつ変わっている。

そう気づくことがあります。

無常という言葉は、
少し寂しく聞こえるかもしれません。

すべては移り変わる。

そう聞くと、
失うことばかりを思ってしまいます。

けれど、
変わっていくものを見つめることは、
ただ悲しむことなのでしょうか。

昔の人なら、
移り変わるものを、
ただ諦めて見ていたのでしょうか。

それとも、
変わるからこそ、
今あるものを粗末にしないという感覚を持っていたのでしょうか。

分かりません。

ただ、
変わっていくものを黙って見ていると、
今ここにあるものの重さが、
少しだけ分かることがあります。

古い手帳を元に戻すとき、
過ぎていった時間が、
ただ消えたわけではないように感じることがあります。

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