最初の名を知らないままだった

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家の古い話を聞いたとき、
最初にそこへ住み始めた人のことが、
ふと気になることがあります。

誰がこの家を建てたのか。

誰がこの土地を選んだのか。

誰が最初にここで暮らし始めたのか。

普段は考えません。

今の暮らしだけで手一杯だからです。

けれど、
最初に立った人のことを知らないままでは、
今あるものの重さも、
どこか見えにくくなることがあります。

初代という言葉は、
少し遠く聞こえます。

歴史の中の名。

最初に置かれた人。

覚えるべき知識。

そう見えてしまうことがあります。

けれど、
初代とは、
ただ一番目というだけの言葉なのでしょうか。

最初に立った人がいたから、
その後に続くものがあります。

受け取る人がいて、
つなぐ人がいて、
今に残っているものがあります。

この感じは、
自分だけのものなのでしょうか。

昔の人なら、
初代という言葉を、
ただ順番の最初として見たのでしょうか。

それとも、
そこから何かが始まったという重さを、
もう少し静かに受け止めていたのでしょうか。

分かりません。

ただ、
最初の名を知らないまま歩いていたと気づくとき、
自分の今もまた、
突然そこにあるものではないように感じることがあります。

始まりを思うと、
いつもの場所が、
少しだけ深く見えてきます。

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